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【擦り傷の処置・被覆編】浸出液の量で選ぶ正しい「被覆材」の選び方

10月22日
読了時間: 3分

前回までに、傷口の「流水洗浄・異物の除去」と「圧迫止血」についてお話ししました。

血が止まったら、いよいよ仕上げのステップである「創傷被覆材(保護材・パッド)を貼る」段階に入ります。

ここで多くの方が悩むのが、「密閉(閉鎖)していいの?」「何を貼ればいいの?」という問題です。実は、傷の状態や治っていく段階によって、最適な選択肢はまったく異なります。

今回は、家庭での処置で失敗しないための被覆材の選び方について解説します。


1. 「密閉する(閉鎖療法)」か「開放して覆う」か?

きれいに治すための湿潤療法(モイストヒーリング)は基本的に「密閉」が原則ですが、例外があります。

  • 泥や砂が多く、強く汚染されていた傷

  • 動物に噛まれた・引っかかれた傷

このような感染リスクが高い傷の場合、最初から完全に密閉して塞いでしまうのはおすすめできません。万が一、傷の奥に細菌が残っていた場合、密閉空間の中で菌が一気に増殖して化膿してしまう危険があるためです。

汚染が強かった場合は、最初は密閉にこだわらず、通気性を持たせて様子を見る(開放的に被覆する)判断も大切になります。


2. 被覆材は「浸出液(体液・血液)の量」で選ぶ

被覆材を選ぶときの最大の基準は、「傷口から出てくるジュクジュク(浸出液)や血液の量」です。

受傷直後は、皮膚を治すための浸出液が非常に多く分泌されます。この時期に大切なのは、「あふれ出る水分をしっかり受け止める高い吸水力」です。


3. なぜ「いきなりキズパワーパッド」はお勧めしないのか?

「すり傷=キズパワーパッド(ハイドロコロイド素材)」と連想する方も多いでしょう。 しかし、受傷直後からの使用はあまりおすすめしません。

ハイドロコロイド素材は密閉力に優れる反面、「吸水力(水分を抱え込める限界量)」がそれほど高くありません。

受傷直後のあふれ出る浸出液に対して貼ってしまうと、

  • 液を吸収しきれずに周囲からドロドロ漏れ出てしまう

  • 溜まりすぎた液で健康な周囲の皮膚がふやけてかぶれる

  • 密閉されすぎて細菌感染のサインに気づきにくい

といったトラブルが起きやすくなります。キズパワーパッドが真価を発揮するのは、浸出液が落ち着いてきた中盤以降です。


4. 最初は何を使うべき?

では、受傷直後の浸出液が多い時期は何を選べばよいのでしょうか。

  • 普通のガーゼ 吸水力自体は非常に高いのですが、乾いて傷口に張り付いてしまうのが最大の欠点です。剥がす際にせっかく再生してきた皮膚を再び剥がしてしまい、痛みを伴います。

  • おすすめ:非固着性の吸収パッド(例:エスアイエイドなど) 受傷直後〜中等量の浸出液が出ている段階で筆者が特におすすめしたいのが、「シリコーンゲルと吸収層が組み合わさった創傷被覆材(エスアイエイドなど)」です。 傷口に触れる面がシリコーンになっているため、傷口にまったくくっつかず、剥がすときも痛くありません。その上で余分な浸出液はしっかり上の吸収層へ吸い上げてくれるため、傷を理想的な湿潤環境に保ちつつ、漏れやかぶれを防いでくれます。


まとめ:失敗しない被覆材選びの基本

  • 汚染がひどい傷は、最初から完全密閉しない

  • 受傷直後は浸出液が多いため、「吸水力の高いもの」を優先する

  • いきなりキズパワーパッドを貼ると、吸水が追いつかず漏れやかぶれの原因に

  • 最初は傷にくっつかない高機能パッド(エスアイエイドなど)がベスト

傷の治り具合や浸出液の量を見ながら、適切な被覆材へとステップアップしていくことが、痛みを最小限にしてキレイに治す近道です。


※傷口の周りが赤く腫れて熱を持ってきた場合や、ドロドロした黄色い膿・嫌な臭いが出てきた場合は感染を起こしている可能性があります。その際はすぐに被覆材を外し、医療機関を受診してください。


浸出液の量で貼る被覆剤を決めましょう
浸出液の量で貼る被覆剤を決めましょう

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